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SESの単価相場はどのくらい?相場が決まる要因や単価を上げる方法を紹介

IT業界では「SES」という業務形態で働くエンジニアが数多くいます。SESで働くにあたって、単価相場がどのくらいなのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、SESの単価について基本からわかりやすく解説します。SESの単価を上げる方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

更新日: 2025/01/17

そもそもSESとは?

 

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアの労働力を企業に提供し、その対価として報酬を得るサービスのことです。名称に「システムエンジニアリング」とありますが、システムエンジニアに限らず幅広いIT職種がSESで働けます。

SESで働くエンジニアは、SESを主事業とする「SES企業」に所属します。SES企業は、クライアント企業の職場にエンジニアを派遣し、派遣されたエンジニアが開発や運用などの労働力を提供することで、クライアント企業からの報酬を得られます。

SES企業とクライアント企業は、業務委託契約の一種「準委任契約」を結ぶことが一般的です。準委任契約では、プログラムなどの成果物を納品する義務はありません。実際に労働した時間・期間にもとづき報酬が支払われます。なお、SES企業とエンジニアの間では一般的な雇用契約を結ぶことが多いです。

 

SESの単価相場はどのくらい?

SESにおける単価とは、クライアント企業がSES企業に対して支払う金額のことを指します。SES企業とクライアント企業の交渉で決まるため、案件によって単価は変わってきます。SESとして働く方は、単価相場を知っておきましょう。

 

SESの単価相場

SESの単価は、1人のエンジニアが1か月労働した場合に支払う金額「人月単価」で決めることが一般的です。SESの単価相場を下表にまとめました。

職種人月単価の相場
プログラマー(下請け)40~80万円
プログラマー(大手企業)60~100万円
システムエンジニア(初級~中級)80~120万円
システムエンジニア(中級~上級)100~200万円


ただし、実際の単価はクライアント企業の規模やエンジニアのレベルなどによっても変わってきます。あくまで参考程度にとどめておきましょう。

 

新人の場合の単価相場

実務の経験が少ない新人エンジニアの場合、基本的にSESの単価も低く設定されます。職種や業務内容にもよりますが、新人エンジニアの単価相場は30~55万円ほどです。経験者ほどの成果は見込めないため、単価相場が下がるのは致し方ありません。

一方、新人エンジニアはクライアント企業にとってコストを抑えやすい存在です。即戦力を求めていない場合、職場での経験を通した成長を期待し、新人エンジニアを受け入れる企業は少なくありません。

新人のうちは低単価でも、経験を積んでいけば、高単価のSES案件にアサインされる可能性は十分あります。

 

SESの単価を決める要素

 

SESの単価は、案件やエンジニアによって大きな差があります。SESの単価は、どのように決まるのでしょうか。ここでは、SESの単価を決める主な2つの要素について解説します。

 

SESエンジニアのスキル

SESエンジニアがもつスキルの多さやレベルによって、SESの単価は大きく変わります。クライアント企業にとってスキルが優れているエンジニアほど、より高い成果が期待できるためです。同じ案件に2人のエンジニアを派遣する場合でも、両者のスキルによって単価には開きが生じます。

クライアント企業が求めるスキルを多く保有している、あるいは高いレベルで保有しているエンジニアほど、単価は高くなるでしょう。クライアント企業は、より高い成果が見込めるエンジニアに対して高い単価を支払うのです。

なお、スキルの高さをクライアント企業が判断する際には、実務での経験年数や関連資格の有無などがチェックされます。経験年数が長いほど高いスキルを期待してもらえるため、単価交渉の面ではベテランエンジニアほど有利といえます。

 

SES企業の規模や商流

SES企業の規模や商流(取引の流れ)も、SESの単価に大きく影響する要素です。SES企業によって、受注するSES案件の傾向が異なるため、単価の水準も変わってきます。

SES企業の規模が大きいほど、高単価のSES案件を受注しやすくなる傾向があります。営業コストをかけるだけの資本力やブランド力があり、案件受注において優位に立ちやすいためです。

また、商流が浅いSES案件を専門とするSES企業ほど、単価は高くなる傾向があります。そもそもIT業界は、「発注者→元請け→一次請け→二次請け」といった多重下請け構造が一般的です。「商流が浅い」は手前側に近く、「商流が深い」は後ろ側に近いことを意味します。一般的に、商流が浅くなるほど単価は高くなりやすいです。

ただし、SES企業における商流の深さは経営方針によるところが大きく、必ずしも企業規模とは比例しません。大規模なSES企業でも、深い商流のSES案件を中心に受注するケースはあります。

 

SESにおける還元率とは

 

SESにおいては、単価以外にも重要な指標に「還元率」があります。還元率とは、SESエンジニアがこなす案件の単価と、SES企業が実際に支払う給料の比率です。

SES企業は、案件単価の全額をSESエンジニアに支払うわけではありません。SES企業の運営資金や利益などを考慮して、一定のマージンを差し引くことが一般的です。つまり、どれだけ単価からマージンが差し引かれるかによって、還元率も変わります。

SESの還元率について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

還元率の計算方法

SESにおける還元率は、次の計算式で算出できます。

還元率(%)=実際に支払われた給料÷こなした案件の単価×100

 

たとえば、あるSESエンジニアが人月単価100万円の案件を1か月こなし、月給が50万円支払われたとしましょう。この場合、還元率は50万円÷100万円×100=50%と算出できます。

 

還元率とマージンの相場

SESエンジニアに支払われる給与は、単価からマージンを差し引いた金額です。単価に還元率を掛けた金額がSESエンジニアの取り分、マージン率を掛けた分が企業の取り分となります。

単価から差し引かれるマージン率は、平均40%程度といわれています。そのため、SESエンジニアへの還元率は、100%から40%を差し引いた60%程度が相場です。ただし、実際には40~80%とSES企業によって大きな幅があることを知っておきましょう。

なお、明確な定義はありませんが、還元率が70%を超えるSESは「高還元SES」と呼ばれることもあります。

 

単価や還元率は教えてもらえないことがある

SESエンジニアとして働く場合、SES企業に単価や還元率を聞いてみたいと思う方もいるでしょう。しかし、単価や還元率は必ず教えてもらえるとは限りません。単価や還元率には開示義務がないため、SES企業によっては教えてもらえないこともあります。

SES企業としては、単価や還元率が他社と比べて高くない場合、SESエンジニアに知られたくはないでしょう。高単価・高還元なSESを求めるSESエンジニアに知られると、他社に流出する懸念もあります。また、単に機密情報として教えられないケースも考えられます。

単価や還元率についてSES企業に質問する場合、必ずしも教えてもらえるとは限らないことを覚えておきましょう。

<h3>還元率が高いから給料も高いとは限らない
高還元=高収入というイメージをもたれがちですが、還元率が高いから給料も高いとは限りません。還元率は、単価からSESエンジニアの取り分になる比率です。そもそもの単価が低ければ給料も低くなります。

たとえば、Aさんは還元率40%で人月単価100万円、Bさんは還元率60%で人月単価50万円だったとしましょう。還元率は、Aさんのほうが高いです。しかし、実際の月給は次のように、低還元なAさんのほうが高いことがわかります。

Aさん:100万円×40%=40万円
Bさん:50万円×60%=30万円

 

このように、還元率が高くても単価によっては給料が低くなります。還元率でSES企業を比較するよりも、単価も含めた年間売上で比較しましょう。

 

高還元なSES企業を選ぶべき?

必ずしも高還元なSES企業を選ぶべきとは一概にいえません。エンジニアによって、高還元SESが合っている場合、低還元SESが合っている場合があります。

高還元かつ高単価な案件は労働条件がよいことが多いものの、確かな経験やスキルがなければ高い成果を出せません。そのため、高還元SESは経験やスキルを活かしたい方、ワークライフバランスを重視したい方におすすめです。ただし、SES企業によっては還元率を高めるために営業コストを節約している分、案件の商流が深いケースもあります。

一方、一般的な企業と比べて特別に高還元ではなくても、多くの営業コストを投入することで商流が浅い案件を獲得しているSES企業も少なくありません。商流が浅い案件は幅広い工程の経験を積みやすい傾向があり、若手エンジニアにとって大きな成長のチャンスにもなります。そのため経験が少ない方、経験を積みたい方は低還元SESも十分考慮の対象になるといえます。

とはいえSES企業の還元率は、企業選びにおける判断材料の1つにすぎません。案件の内容や福利厚生など、さまざまな要素をチェックして総合的に判断しましょう。

 

SESエンジニアが相場よりも単価を上げる方法

SESエンジニアとして働くのであれば、単価を上げたいと考える方は多いはずです。ここでは、SESエンジニアが相場よりも単価を上げる3つの方法を紹介します。

 

SES企業に交渉する

SES企業に勤めている方の場合、自社の営業担当者などに交渉してみるのも1つの方法です。SES案件にもよりますが、半年から1年ほどのスパンで単価の見直しを実施するSES企業は多くあります。単価アップしてほしい意向を伝えれば、契約更新時にクライアント企業と単価交渉してくれるでしょう。

ただし、実際に単価アップが実現するかどうかはクライアント企業の判断次第です。一般的に、勤め始めたばかりのSES案件で単価交渉が通る可能性は低いといえます。ある程度の期間続けているSES案件の場合に試してみましょう。

 

クライアント先で成果を出す

クライアント先で成果を出すことは単価アップへの近道です。成果を出せるSESエンジニアは、社内外から評価されやすくなります。営業担当者がクライアント企業に単価交渉をしやすくなり、承認される可能性もアップします。

また、社内からの信頼性も高まるため、高単価な案件にアサインされやすくなるでしょう。クライアント先で成果を出すためには、積極的に経験を積み、職場で求められるスキルを磨いていくことが大切です。

 

単価が高いSES企業に転職する

これからSES企業への転職を考えている場合、扱っている案件の単価が高いSES企業を選ぶのがおすすめです。高単価なSES案件が充実している企業であれば、単価が高いSES案件にアサインされる可能性が上がります。

ただし、前述のとおりSES企業に単価を聞いても回答してくれないケースが少なくありません。SES企業の単価を調べる際には、口コミサイトで評判をチェックする、内情に詳しい転職エージェントに質問するなどの方法を試してみましょう。また、先述のとおり、収入は単価と還元率で決定します。単価が高くても還元率が低ければ収入が増えるとは限らないため、バランスを考慮することも大切です。

 

まとめ

 

SESにおける単価は、クライアント企業がSES企業に対していくら支払うかを決定する要素です。SESエンジニアのスキルやSES企業の規模や商流によって、単価は大きく変わってきます。

高単価なSES案件は魅力的ですが、還元率が低いためにSESエンジニアの給料が低くなるケースもあります。SES企業を選ぶ場合は、SESの単価だけでなく還元率や商流、福利厚生など幅広くチェックしましょう。

 

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