デスクワーク中の消費カロリーは?

人間には基礎代謝があり、安静時や椅子に座ってデスクワークをしているときでも、カロリーは常時消費されます。
詳しい計算方法については後述しますが、4時間のデスクワークをした場合、体重60㎏の男性であれば約328kcal消費されることになります。328kcalは、ごはん中盛り(200g)の摂取カロリーと同じくらいです。
ひと口にデスクワークと言っても、座ったまま書類確認や入力作業を行うような仕事から、社内での移動や立ち姿勢、電話対応の多い仕事までさまざまです。消費カロリーは細かい動作の積み重ねで変動するため、あくまでも目安であることや、男女で消費カロリーが異なることは留意しておきましょう。
デスクワークの消費カロリーを計算する方法

消費カロリーの計算には、身体活動の強さを表すmets(メッツ)という単位を使用します。メッツ値とは、活動によるエネルギー消費量が、安静時(静かに座っている状態)の何倍にあたるかを示す値です。厚生労働省の「生活活動のメッツ表」では、立った状態での会話や皿洗いなどは1.8メッツ、平地でのほどほどの速さの散歩は3.5メッツ、素早く階段を上る場合は8.8メッツなど、生活におけるさまざまなメッツ値が紹介されています。
デスクワークでの消費カロリー計算にも、このメッツ値と、体重や時間を使って計算を行います。
1日座りっぱなし(8時間)の場合の消費カロリーは?
仮に、体重60kgの男性が8時間継続して座ったままでいる場合、消費カロリーは以下のように算出されます。
・本や新聞等を読んだ場合
1.3(mets)×60(㎏)×8(時間)×1.05 = 655kcal
消費カロリー655kcalは、ハンバーグ弁当の摂取カロリーに近い値です。
・座ったまま会話をした場合
1.5(mets)×60(㎏)×8(時間)×1.05 = 756kcal
会話をすることで少し消費カロリーは上がり、唐揚げ弁当の摂取カロリーに近い756kcalが消費されます。
実際には、8時間座ったまま1つの動作だけを継続することはほとんどなく、途中でトイレ休憩や打合せのために移動するなど、さまざまな別の動作が入るため、厳密にこの計算式だけで消費カロリーを算出するのは難しいといえます。
とはいえ、仕事時間の大半を座ったまま過ごしている場合の消費カロリーの目安となるため、これらの数値を意識することは健康維持に役立ちます。
男性と女性の消費カロリーの違いは?
身体活動によるカロリー消費以外に、人間が生命活動を維持するために最低限必要とするエネルギーを基礎代謝と言います。基礎代謝は体重や筋肉量などによって異なり、一般的に女性より男性のほうが体重は重く筋肉量も多いため、基礎代謝は男性のほうが高くなります。
基礎代謝は年齢などの要因でも異なりますが、男性と女性の平均体重を元に消費カロリーを計算すると下記の通りとなります。
一般の成人男性:約685kcal(平均体重:62.7キロ)
一般の成人女性:約555kcal(平均体重:50.8キロ)
基礎代謝は筋肉量を増やすことで上げられます。同じような働き方や食事でも、太りやすい人と太りにくい人がいるのは、基礎代謝量が異なることも要因の1つです。
デスクワーク中の消費カロリーを増やす方法

「基礎代謝を上げること」「身体活動量を増やすこと」によって、デスクワーク中の消費カロリーをトータルで増加することが可能となるのです。簡単に実践できる方法をピックアップしてご紹介します。
スタンディングデスクを使う
スタンディングデスクとは、使用者が立った状態の高さに合わせられるデスクです。立位で作業を行うため、座りっぱなしによる腰痛や肩こり、運動不足を解消するなど、身体への負担が軽減されます。
スタンディングデスクを使用することで、デスクワーク中の消費カロリーを増やすことができます。座っているときと比べ、立っているときには、体幹を安定させるための腹筋や下半身の筋肉など、全身の筋肉をより多く使います。これにより、1時間あたり約50kcal多く消費することが可能です。これは、1日8時間で考えれば、約400kcalの差となります。スタンディングデスクは、運動不足の解消や身体への負担軽減にも効果的であり、健康維持にも役立つ選択肢といえます。
室温を低めに設定する
生命活動を維持する基礎代謝には、体温を維持するという役割が大きく関係しているため、室温が低いほうが消費カロリーは大きくなります。室温が高いと、身体は体温を上げなくても維持できてしまうため、基礎代謝は上がりにくくなります。
あえて少し低めに設定し、寒いと感じるときは身体を動かして体温を上昇させるようにすると、消費カロリーをアップさせることができます。
また、仕事に集中するためにも、快適と感じる室温よりもやや低めのほうが適しているといえます。
もちろん、あまりにも寒い場所で内臓まで冷えてしまうと、血流が悪くなり代謝は下がってしまうほか、肩こりの原因となるおそれもあるため、少し低めくらいを心がけましょう。
正しい姿勢を意識する
正しい姿勢を保つことで、基礎代謝が向上し、消費カロリーが増加します。筋肉や骨のバランス、内臓の動きがよくなり、無理なく基礎代謝が上がるため、食べても太りにくく、運動をすればさらに痩せやすい状態になります。
また、背筋を伸ばすと胸郭が広がり、肺が十分に膨らむスペースが確保されます。これにより一度の呼吸でより多くの空気を取り込むことでき、酸素摂取量・酸素消費量が増えることでカロリー消費量が上がります。消費カロリーの違いは1日あたり4kcal程度と小さいものの、人は常に呼吸をしているため、長期で考えればこのような積み重ねによる効果は大きいといえます。
水分をこまめに摂取する
水分をこまめに摂取することで代謝が上がります。水分を摂ると血液の流れがよくなり、エネルギーが全身に運ばれやすくなるほか、不要なものが尿として排泄され、代謝が促進されるのです。代謝が活発になると、体内でのエネルギー消費が増え、ダイエット効果が期待できます。
また、体温より少し低い温度の水が体内に入ると、体温と同じ温度にするためにエネルギーが消費されます。水分摂取による代謝の促進は、心身の元気やデトックス効果、美容効果、健康増進効果にもつながります。
ガムを噛む
最近の研究で、よく噛んで食べることで食後のエネルギー消費量が増加することがわかっています。食事の場合同時にカロリーを接種することにもなりますが、ガムであればカロリー消費効果だけを期待できます。ガムを噛むことによる基礎代謝量は、安静時の10%以上増加したという報告もあります。
デスクワーク中に小腹が空いたとき、ついお菓子をつまんでしまうこともありますが、ノンシュガーなどの低カロリーなガムを噛むことで満腹中枢が刺激され、空腹感を抑える効果も期待できるのです。
椅子に座ったままカロリーを消費するエクササイズ

ちょっとした生活習慣の積み重ねで消費カロリーを増やすことができますが、やはり運動によるカロリー消費には及びません。デスクワーク中でも、座ったままできるエクササイズを3つご紹介します。
股関節ほぐし
長時間の座り仕事は、腰痛や膝痛の原因となります。長時間同じ姿勢でいることで、股関節周りの筋肉が緊張し血流が悪化するためです。股関節周りをほぐすことで、身体の可動域が広がったり全身の血流がよくなったりし、基礎代謝が上がります。気持ちよく筋肉を伸ばすことで気分転換にもなります。
どのエクササイズをするときにも、まず正しい姿勢で座りましょう。背筋を伸ばし、椅子に浅く腰掛けます。
【股関節ほぐしのやり方】
- 正しい姿勢で座り、左の足首を、右のひざの上に乗せ、右手で足の甲を下から掴みます。
- 左手でひざを押し下げるのと同時に、右手で足の甲を引き上げながら、おなかを太ももに近づけます。
- 股関節とお尻が伸びているのを感じながら30秒キープ。反対側も同様に行います。
ドローイン
ドローインはおなかを引き締める運動で、深い呼吸を伴いながら行います。インナーマッスルが鍛えられ、姿勢が改善されます。また股関節や腰周りの柔軟性が高まり、身体の可動域が広がることで、日常生活の動作がスムーズになります。
インナーマッスルが強化されると、安静時のカロリー消費量が増え、脂肪燃焼が促進されます。さらに、深い呼吸により酸素摂取量が増え、体内のエネルギー消費が活性化される効果もあります。
【ドローインのやり方】
- 正しい姿勢で座り、両手を前へならえの状態で突き出し、足を軽く開きます。
- ゆっくり息を吐き切り、限界までおなかを凹ませたところで浅い呼吸を10~30秒ほど続けます。
- 息を吸いながら戻します。5回ほど繰り返しましょう。
かかと上げ下げ
かかと上げ下げは、足首の柔軟性を高め、ふくらはぎの筋肉を鍛えるエクササイズです。
周囲の目を気にせずにいつでも行えるため、習慣にしやすいこともメリットです。
歩行と同様に足裏のツボも刺激され、全身の血行を促進する効果も期待できるため、デスクワーク中の集中力も持続しやすくなります。
【かかと上げ下げのやり方】
- 正しい姿勢で座り、両足のかかとを同時に上げてつま先立ちにし、次に下ろします。
- ふくらはぎの筋肉が刺激されていることを意識しながら、ゆっくりと10回から20回程度行いましょう。
デスクワーク中、さらなるカロリー消費を目指したい人は、筋トレを取り入れることもおすすめです。以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:デスクワーク中にできるばれない筋トレ8種目!腰痛対策や姿勢改善にも効果的
まとめ

一般的に、デスクワークは消費カロリーが少ないとされていますが、正しい姿勢を保って腹式呼吸を行い、座ったままできる筋トレやスタンディングデスクの導入などで消費カロリーを増やすことが可能です。
水分摂取やガムを噛むことなど、ちょっとした工夫によっても消費カロリーは増えるため、自分のスタイルにあった方法を取り入れ、ダイエットや運動不足の解消にお役立てください。