デスクワークが多い人は肩こりになりやすい

長時間デスクワークを行う人にとって、肩こりは避けて通れない問題の一つです。ニッセイ基礎研究所の調査では、座っている時間が5時間を超える人の多くが肩こりを感じていることが明らかになりました。
引用:ニッセイ基礎研究所|就労者の疲労、頭痛、肩こり、腰痛と座位時間~座位時間が5時間を超えると頭痛、肩こりが増加。立ち仕事で腰痛が増加。
特に、女性や痩せている人に肩こりが多いという結果も出ています。これは、筋力量が少ない人が長時間座りっぱなしでいると、肩や首の筋肉に負担がかかりやすくなるためです。
肩こりは、長時間のデスクワークや不適切な姿勢が主な原因となり、仕事のパフォーマンスを低下させる大きな要因となります。特に、集中力を必要とするエンジニアの仕事では、肩こりによる不快感が作業効率に大きな影響を与えます。そのため、デスクワークを行う際には、姿勢や環境を整えることが大切です。
肩こりの根本的な原因
肩こりは、さまざまな要因によって発生します。ここからは、デスクワーク中に発生しやすい肩こりの原因について詳しく見ていきましょう。
長時間の同じ姿勢

デスクワークで同じ姿勢を長時間続けていると、肩こりが発生しやすくなります。特に、エンジニアのようにパソコン作業が多い職種では、首や肩の筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋など)が緊張し、血行不良になります。これが肩こりの原因です。
特に、猫背や巻き肩などの人は肩こりになりやすいため、正しい姿勢を保つことが重要です。さらに、座りっぱなしでいると背中や腰にも負担がかかり、全身のバランスが崩れやすくなります。この状態が続くと、肩だけでなく首や背中、腰などにも痛み・コリが広がるケースもあります。そのため、予防策として定期的に姿勢を正し、立ち上がってストレッチをすることがおすすめです。
目の疲れ
目を酷使することも肩こりの原因の一つです。パソコンの画面を長時間見続けると、自律神経のバランスが崩れることがあり、肩こりの原因となります。書類や本を目で追う作業が多いと、目の疲れが肩や首の筋肉に負担をかけ、結果的に肩こりを引き起こします。
特に、ブルーライトを多く含むディスプレイを長時間見ることは、目の疲労を加速させます。目の乾燥やかすみ目などの症状が現れると、無意識に目を細めたり、姿勢が悪くなったりすることがあります。そうなれば、さらに肩や首の負担が増えて、悪循環を引き起こすのです。
予防するには、適度に休憩をとり、目を休ませることが重要です。また、画面の明るさを適切に調整し、ブルーライトカットのメガネを使用するのも効果的といえます。
冷房が効いた室内
冷房の効いた室内に長時間いると、体が冷え、血行不良が起こりやすくなります。特に夏場は、外との寒暖差が大きく、肩こりを引き起こしやすい季節といえるでしょう。室温が少し低い程度であれば問題ないですが、体が冷えると筋肉の緊張を引き起こし、肩こりを悪化させる原因の一つです。
冷房による冷えは、体の芯まで冷やすため、血流が悪くなり、肩や首の筋肉が硬くなってしまいます。さらに、エアコンの風が直接当たる場所に長時間いると、自律神経のバランスが崩れることもあります。
予防するには、適度な室温調整や、冷気を直接体に当てない工夫が必要です。たとえば、薄手のカーディガンやブランケットを使用することで、体温の急激な低下を防げます。
運動不足
運動不足により筋肉が衰えると、血行が悪くなり、肩や首の筋肉が緊張して、肩こりを引き起こします。適度な運動を取り入れることで、血流が改善され、肩こりの予防や改善が可能です。
特に、肩甲骨周りの筋肉を意識的に動かす運動が効果的です。たとえば、肩回しやストレッチ、軽い筋トレなどを日常的に行うとよいでしょう。軽いストレッチなどの運動でも、筋肉の柔軟性が増せば、血流がよくなり、酸素や栄養が行き渡りやすくなります。
さらに、運動はストレス解消にもつながり、心身の健康を保つために重要です。そのため、毎日少しずつでも体を動かす習慣をつけることが大切といえます。
ストレス
ストレスがかかっているときは、交感神経が優位に働いている状態であり、筋肉を緊張させます。その結果、血流が悪くなり、肩こりが発生しやすくなります。特に、ストレス性の肩こりは女性に多く見られ、気分が落ち込みやすい人は要注意です。
ストレスは、心と体の両方に影響を与えるもので、ストレスが溜まると肩や首の筋肉が硬直し、緊張状態が続きます。そうなれば、血流が悪くなり、筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなります。
ストレスを軽減するには、リラクゼーション法を取り入れるのが効果的です。たとえば、深呼吸や瞑想、趣味に没頭する時間を設けることが挙げられます。自分なりのストレス解消法を見つけて、日常生活に取り入れましょう。
デスクワーク時の姿勢と環境をチェック

デスクワーク中の姿勢や環境は、肩こりを予防するために重要です。ここでは、デスクワーク中に注意すべき姿勢や環境について詳しく説明します。
前傾姿勢になっていないか
背中が丸まった前傾姿勢を続けていると、首や肩の筋肉が常に緊張状態になり、肩こりを引き起こしやすくなります。このような姿勢を避けるには、お尻を椅子の一番奥まで入れて座り、背中を背もたれにしっかりつけることが大切です。
背もたれを活用して背筋を伸ばすことで、猫背や前かがみの姿勢を防げます。さらに、椅子に深く座り、腰や背中がしっかりと支えられることで、長時間のデスクワークでも体の負担を軽減可能です。そのため、定期的に姿勢を確認しましょう。
足の裏が床についているか
足の裏が床につかないと、体幹が不安定になり、全身の筋肉のバランスが崩れてしまいます。全身の筋肉のバランスが崩れると、血行不良に陥る可能性が高まるため、肩こりが発生しやすくなります。これを防ぐには、椅子の高さを調整するか、フットレストを使うなどの工夫をして、足の裏がしっかりと床につくようにしましょう。
足が床についていることで、体全体のバランスをとりやすくなり、肩や首にかかる負担も軽減されます。また、足の位置を確認し、無理な姿勢を避けることで、長時間のデスクワークによる疲労を防げます。
パソコンの位置が低すぎないか
座ったときの視線に対してパソコンの画面が低すぎると、首が前に出てしまい、猫背になってしまいます。猫背になれば肩への負担が大きくなるため、ディスプレイの上端が目の位置より少し下になるような高さに調整することをおすすめします。
正しい画面の位置にすることで、首や肩の負担を軽減し、自然な姿勢を維持しやすくなります。また、モニターアームを使用して、ディスプレイの高さや角度を自由に調整できるようにすることもおすすめです。
画面との距離が近すぎないか
画面との距離が近すぎると、目に大きな負担がかかり、目の疲れが肩こりを引き起こします。目に負担をかけすぎないためにも、ディスプレイと目の距離は40cm以上離すように心がけましょう。
さらに、定期的に画面から目を離し、遠くを見て目の筋肉をリラックスさせることも重要です。これにより、目の疲労を減らし、肩こりの予防につながります。
画面が明るすぎないか
画面が明るすぎると、目が疲れやすくなり、肩こりを引き起こしやすくなります。目の疲れを軽減するには、画面の明るさを調整し、部屋の明るさと合わせることが大切です。目の疲れを軽減すれば、肩こりの予防につながります。
特に、周囲の照明が暗いなかで明るい画面を見続けると、目の疲労が蓄積されます。そのため、画面の明るさを適切に設定し、環境光に合わせて調整することが大切です。
デスクワーク中の肩こりの解消方法

デスクワークによる肩こりを解消する方法として、以下が挙げられます。
- 肩甲骨ストレッチをする
- ホットパックで目を休める
- こまめに水分をとる
日常生活に取り入れやすい簡単な方法から始めてみましょう。
肩甲骨ストレッチをする
肩甲骨のストレッチは、デスクワーク中に手軽に行うことが可能です。具体的には以下の手順に添って行います。
- ステップ1:両腕を広げる
- ステップ2: 両手を肩の上に乗せる
- ステップ3: 胸を張って、両ひじで大きな円を描くように回す
- ステップ4: ゆっくりと動かす
上記の1~4をリラックスしながらゆっくり行うことで、肩回りの血行が促進されます。その結果、肩こりが発生しにくい体になります。
ホットパックで目を休める
ホットパックを使用して目の周りを温めると、血行が促進され、目の疲労が軽減されます。目の疲労が軽減されれば、肩や首の筋肉の緊張もほぐれやすくなります。
特に、目の周りの筋肉がほぐれることで、パソコン作業による目の疲れが軽減され、肩こりの予防につながります。ホットパックは、電子レンジで簡単に温められるアイテムであるため、オフィスでも手軽に利用することが可能です。
こまめに水分をとる
水分補給は、血行をよくするために重要です。水分をとることで、筋肉が酸素や栄養分を吸収しやすくなり、肩こりの改善につながります。そのため、デスクワーク中は、こまめに水分をとる習慣を身につけましょう。
水分をしっかりとることで、体内の血液循環が改善されるため、全身の疲労回復にも効果的です。そのため、定期的な水分補給を心がけましょう。
まとめ

デスクワークによる肩こりは、多くのエンジニアが抱える悩みです。長時間同じ姿勢を続けることや目の疲れ、運動不足、ストレスなど、さまざまな要因が肩こりを引き起こします。予防するには、作業時の姿勢を改善するだけでなく、環境を整えることが欠かせません。
また、肩甲骨のストレッチや水分をこまめにとることで、体内の血液循環が改善され、肩こりを解消できる可能性があります。肩こりに悩むことなく、快適な環境で仕事を行えるように、取り組みやすい方法から実践してみてください。以下記事では、デスクワークの「腰痛対策」について詳しく紹介しています。気になる方は、ぜひ参考にしてください。