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業務委託とフリーランスの違いとは?業務委託契約を結ぶ際の注意点も紹介

リモートワークの普及などにより、「フリーランス」という働き方が注目されています。「フリーランス」や「業務委託」という言葉を耳にしたことがものの、具体的な違いについて理解していない方もいるのではないでしょうか。フリーランスと業務委託は密接に関連していますが、厳密には異なります。

そこで本記事では、業務委託とフリーランスの違いについて詳しく解説します。業務委託契約を結ぶ際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

更新日: 2025/01/15
タグ:#働き方

業務委託とフリーランスの違い

 

結論からいえば、業務委託は「契約形態」であり、フリーランスは「働き方」です。「フリーランス」と「業務委託」は併用されることも多いものの、両者はそもそも概念が違います。業務委託は、フリーランスにおける仕事獲得手段の1つです。

まずは、各言葉の意味について押さえておきましょう。

 

業務委託とは

業務委託とは、企業が業務の一部、あるいは全てを外部へ依頼する契約形態のことです。企業は、人手が足りない、必要スキルを持つ人材がいない、といった場合に業務委託契約を結びます。この契約により、外部の適任者に業務を代行してもらうのです。

ここでいう「外部」は、個人・企業を問いません。契約次第では、個人に依頼する場合も、企業に依頼する場合もあります。

たとえば、Webサービスを開発する企業にプログラマーが足りていないとしましょう。このとき、表示部分のプログラム開発だけを外部のプログラマーに業務委託する、といったことが可能です。

業務委託では、プログラムや原稿といった「成果物」、あるいは電話代行といった「業務の遂行」に対して、対価が支払われます。上記の例でいえば、外部のプログラマーは完成したプログラムを納品することで報酬を獲得できます。

 

フリーランス(個人事業主)とは

フリーランスとは、特定の企業に所属せず、さまざまな企業から個人として仕事を請け負う働き方のことです。

一般的な会社員とは違い、フリーランスは基本的に「雇用契約」を結びません。その代わりに、フリーランスは多くの場合「業務委託契約」を結びます。独立した個人として企業から案件を受注し、委託された成果物の作成や業務の遂行を進めるのです。

エンジニアやデザイナー、ライターなど、フリーランスの職種は多岐にわたります。複数のスキルを持っている場合は、エンジニア案件とデザイナー案件を並行で進める、といったことも可能です。

なお、フリーランスのなかでも開業届を税務署に提出した個人のことを「個人事業主」と呼びます。開業届を提出しないこと自体にペナルティはないため、実際には提出せずにフリーランスとして事業を行う人も少なくありません。

 

「業務委託=個人事業主」ではない

「業務委託=個人事業主」でないことは把握しておきましょう。業務委託契約の委託先は、個人事業主だけでなく企業の場合もあるためです。

たとえば、広告代理店がプロモーション動画を制作するために、動画制作会社へ業務委託する、といったケースも考えられます。「業務委託は個人事業主が行うもの」といったイメージを持たれがちですが、必ずしもそうではない点に注意しましょう。

 

業務委託契約の種類は3つ

 

業務委託契約には、主に下記の3種類が存在します。

  • 請負契約
  • 委任契約
  • 準委任契約

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・請負契約|成果物の完成を目的とした契約

請負契約とは、「成果物」を納品することで報酬が支払われる契約のことです。発注者は成果物の作成を依頼し、受注者は実際に完成させます。受注者が納品した成果物に問題がなければ、発注者が検収することで報酬が支払われます。Webサイトの制作やロゴデザインの制作など、明確な成果物が存在するケースで採用されます。

請負契約は、成果物さえ問題なければ完成までのプロセスは基本的に自分で決められる自由度の高さが魅力といえます。一方で、納期(納品期限)までに成果物を完成させなければならないプレッシャーが難点です。また、成果物に問題があった場合、修正や報酬減額などが発生するケースもあります。

 

・委任契約|業務の遂行を目的とした契約

委任契約とは、「業務の遂行」に対して報酬が支払われる契約のことです。発注者は遂行してほしい業務を委任し、受注者はその業務を遂行します。受注者が実際に遂行した工数(作業時間)に応じて、報酬が支払われるのです。税理士による税務処理代行や弁護士による訴訟代理など、明確な成果物が存在しないケースで採用されます。

委任契約における「業務」とは、法律行為(法的効力が生じる業務)に該当するものです。主に、法的に定められた独占業務の資格を持つ士業への業務委託が、委任契約に該当します。

請負契約とは違い、成果物を完成させなくても作業した分だけ報酬が発生するのが魅力です。その反面、契約内容が不明確になりやすく、発注者・受注者間でトラブルが生じやすい側面もあります。

また、成果物を納品する義務はなくても「善管注意義務(常識的な範囲で注意を払う義務)」は発生する点に注意が必要です。たとえば、業務遂行にあたって報告や管理などが杜撰だった場合、善管注意義務違反により契約不履行となるケースもあります。

 

・準委任契約|法律行為以外の業務を委託する契約

準委任契約も委任契約と同様、「業務の遂行」に対して報酬が支払われます。委任契約との違いは「法律行為に該当するかどうか」です。法律行為に該当しないものが準委任契約となります。システムの保守やSNSの運用代行など、士業を介さない多くの業務が該当します。業務の遂行にあたって、クライアント企業に出向く案件も多いです。

準委任契約も同様に、成果物を完成させなくても作業した分だけ報酬が発生します。ただし、善管注意義務を怠ると契約不履行になったり、出向先でトラブルが発生したりするリスクもあります。

 

業務委託として働くメリット

業務委託として働くメリットは、主に下記の3つです。

  • 時間や場所を自由に選択できる
  • 幅広い経験を積める
  • 高収入が期待できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・時間や場所を自由に選択できる

業務委託であれば、時間や場所を自由に選択することも可能です。自由度の高い契約内容であれば、ライフスタイルに合った働き方が実現しやすくなります。

特定の企業と雇用契約を結ぶと、決まった時間に、決まった場所で働くことになります。一方、業務委託であれば時間や場所の制約は生じないケースがあります。そのため、好きな時間に業務を開始・終了したり、自宅やコワーキングスペースで作業したりすることが可能です。

ただし、準委任契約でクライアント企業に出向いて業務を行う場合などは、時間や場所の制約が生じるため注意しましょう。

 

・幅広い経験を積める

業務委託でさまざまな案件に取り組むことで、経験値を上げられます。

雇用契約だと、勤め先の方針によっては同じ業務ばかりを担当することになります。しかし業務委託であれば、複数クライアントの業務を請け負うことも可能です。さまざまなクライアント企業の業務に携わることで、幅広い経験を積めることはメリットといえます。

1つの企業の業務に限定されずに働けるため、新しい人間関係の構築や得意領域の追求も可能です。ただし、幅広い案件を受注するためには、前提として一定レベル以上のスキルや経験が必要となります。経験がない領域の業務を受注することは基本的に困難です。また、業務領域によっては競合相手が多く、受注のために単価を落とすといった戦略が必要なケースもあります。

 

・高収入が期待できる

業務委託でスキルや経験を有効活用できれば、高収入が期待できます。

雇用契約の場合、基本的には月々の給料が固定となり、長時間労働を行わない限り収入アップは難しいでしょう。しかし業務委託契約であれば、自分のスキルを活かして高単価案件を受注したり、複数の案件を掛け持ちしたりすることも可能です。

特に請負契約の場合、受注した案件の数や単価によって収入が決まります。優れたスキルや経験があれば、大幅に収入をアップできる可能性があるのが魅力です。また、適切に経費計上することで節税につながり、可処分所得を増やすことも可能です。

 

業務委託として働くデメリット

業務委託にはデメリットもあります。業務委託として働くデメリットは、主に下記の3つです。

  • 安定した収入ではない
  • 福利厚生がない
  • 全てが自己責任となる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・安定した収入ではない

業務委託として働く場合、収入は検収された案件の数や単価によって決まります。そのため、どのような案件をどれだけこなせたかで、収入は大きく変動します。安定した給料がもらえる会社員と比べると、収入が安定しないのがデメリットです。

特にフリーランスとして独立した初期は、業務委託での実績が少ないため、企業に敬遠されやすい傾向にあります。案件の獲得までに時間がかかったり、低単価な案件しか受注できなかったりするケースも少なくありません。

業務委託で生計を立てるためには、安定的に案件を受注できるだけのスキルや経験が不可欠です。スキルや経験を積み重ねてからでないと、フリーランス・業務委託として働くことは難しいといえます。

 

・福利厚生がない

業務委託として働く場合、会社員のような福利厚生は基本的にありません。たとえば、業務で怪我した際にも労災保険料は支給されないため、自身の貯蓄や個人加入の保険でカバーすることになります。

一般的な会社員であれば住宅手当や退職金、労災保険料などが支給されます。雇用契約の場合、法律で定められている福利厚生も多いですが、業務委託では雇用契約のような福利厚生の規定がないため、こうした恩恵を受けられません。

 

・全てが自己責任となる

会社員であれば、トラブルが発生した際に会社が守ってくれるでしょう。しかし、業務委託で特定の企業に所属していない場合、全てが自己責任となります。クライアント企業とトラブルが生じた場合でも、自己解決しなければなりません。

訴訟に発展するようなトラブルだと、法的な知識や交渉力が求められます。弁護士に依頼することも可能ですが多額の費用が発生します。業務委託には、金銭面の負担はもちろん、「守ってくれる会社がない」という不安も少なからず生じることを知っておきましょう。

 

業務委託契約を結ぶ場合の注意点

 

業務委託契約を結ぶ場合、契約前に不明確な箇所がないかを確認しましょう。案件の詳細が不明確なまま契約を結ぶと、後から思わぬ業務を押し付けられたり、成果物の不備を指摘されたりするケースもあります。担当作業や納期、成果物の形式などを確認し、不明確な箇所がある場合は契約前に明確にしておきましょう。

また、支払いのタイミングを確認することも大切です。案件によって、支払いのタイミングが変わることがあるため、事前に確認しましょう。たとえば大規模な案件の場合、部分的な納品ごとに分割で報酬が支払われるケース、全ての納品時に一括で支払われるケースがあります。支払いのタイミングが想定よりも遅いと後から判明すると、モチベーション低下につながりかねません。

 

まとめ

業務委託とフリーランスには、「契約形態」と「働き方」という違いがあります。特定の企業に所属しないフリーランスの人が、案件を受注する際に業務委託契約を結ぶことがポピュラーです。

業務委託やフリーランスは働き方の自由度を高めやすい一方で、収入が不安定になりやすいデメリットもあります。業務委託やフリーランスを始める前に、メリット・デメリットや注意点を把握しておきましょう。

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