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RDBとNoSQLの使い分け完全ガイド!違いや比較表も紹介

データベースを選ぶとき、「RDB」と「NoSQL」という2つの選択肢があります。これまではRDBが主流でしたが、近年ではNoSQLが採用されるケースも増えてきました。どちらを選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、「RDB」と「NoSQL」の基本的な違いを6つのポイントで比較し、シーンごとの使い分けについても詳しく解説します。データベースの基本から解説しますので、データベース初心者の方もぜひ参考にしてください。
 

更新日: 2025/04/23
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RDBとNoSQLに関する基礎知識

セキュリティ対策

 

「RDB」と「NoSQL」は、いずれもデータベースの種類です。まずは、そもそもデータベースとは何か、そして「RDB」と「NoSQL」とは何かを整理しましょう。

 

データベースとは

IT分野におけるデータベースとは、データを集約して一元管理する仕組み、あるいは集約されたデータ群のことです。ソフトウェアでは顧客情報や商品情報など、多様なデータを扱います。データベースは、それらデータを効率よく扱うために欠かせません。

データベースを使うことで、データの取得や更新、削除などを決まったルールに沿って効率的に行えます。また、データの種類ごとに「テーブル」や「ドキュメント」といった単位で整理できるため、データの整合性を保ちつつ正確な管理が可能です。

たとえば、企業の勤怠管理システムでデータベースを使うと、従業員ごとの勤怠状況やシフト情報、休暇申請など、さまざまなデータを一元管理できます。

 

RDBとは

長きにわたりデータベースの主流として使われてきたのが「RDB(Relational Database)」です。「RDB」とは、行と列をもつ表形式でデータを管理するデータベースのことを指します。

「RDB」のデータは「テーブル」と呼ばれる単位で整理し、各テーブルをルールに沿って関連付けます。たとえば、SNSのデータを「RDB」で管理する場合、ユーザーテーブルや投稿テーブルなどを適切に関連付けて管理します。

また、「RDB」の構築や操作には「RDBMS(関係データベース管理システム)」というソフトウェアが必要です。ソフトウェアのプログラムから「RDB」を操作するときには、「SQL」というデータベース言語を使います。SQLのルールに沿ったクエリ(命令)をRDBMSへ送信することで、RDBMS上のデータを操作できる仕組みです。

「RDB」はデータの整合性を保ちやすく、SQLを用いてデータ操作のルールを標準化できるメリットがあります。そのため、今でも多くのアプリやシステムに利用されています。

 

NoSQLとは

近年、採用されるケースが増えてきつつあるデータベースが「NoSQL(Not Only SQL)」です。厳密な定義はありませんが、一般的にNoSQLは「SQLを使わないデータベース」あるいは「RDB以外のデータベース全般」のことを指します。

「NoSQL」は「RDB」のような表形式ではなく、用途に合わせた多様なデータ構造をもつのが特徴です。詳細は後述しますが、キーと値のペアでデータを管理する「キー・バリュー型」、XMLやJSONでデータを管理する「ドキュメント型」などがあります。

NoSQLの構築や操作にもDBMS(データベース管理システム)を用いますが、RDBMSとは異なる製品が必要です。製品によって、扱えるデータ構造は変わってきます。また、SQLを使わず、各DBMSが提供する独自の操作方法を使うのも特徴です。

「RDB」と比べて柔軟なデータ管理が行える強みがあり、徐々に採用が拡大しています。

 

RDBとNoSQLの違いを6項目で比較

 

次に、「RDB」と「NoSQL」の違いについて、下表のように6つの項目に分けて見ていきましょう。

項目RDBNoSQL
データ構造表形式多岐にわたる
データ操作方法SQLクエリを利用独自の言語やAPIを利用
データ処理速度データが増えると遅くなるデータが増えても高速処理できる
データ処理精度整合性や正確性に優れるやや精度面で劣る場合がある
拡張性垂直方向(サーバー性能向上)水平方向(サーバー追加)
コスト比較的高価比較的安価


以降では、それぞれについて詳しく解説します。

 

データ構造

「RDB」は、行と列をもつ表形式でデータを管理するのに対して、「NoSQL」は1つの形式に限定されません。「NoSQL」の代表的なデータ構造は、次の4種類です。

項目特徴
キー・バリュー型キーと値のペアを1データとして扱う
ドキュメント型XMLやJSONなどのデータ構造に沿ったドキュメントを使う
カラム型キーと値のペアに加え、列単位での一元的なデータ処理が可能
グラフ型ノード(頂点)をエッジ(辺)でつなぎ、データの関連性を表現


NoSQLには、複数のデータ構造から特性を加味して選べるメリットがあります。一方で、「RDB」はデータ構造が標準化されており、一貫性を保ちやすいのがメリットです。

 

データ操作方法

「RDB」でデータを操作する場合、SQLクエリをRDBMSへ送信します。一方で、NoSQLのデータ操作方法は標準化されていません。各DBMS独自の言語やAPIを使います。

たとえば、「RDB」でuserテーブルの全データを取得する場合、次のSQLクエリを送信します。どのRDBMSを使ったとしても、基本的な書き方は同じです。

SELECT * FROM user;


一方で、「NoSQL」の「MongoDB」で同様の操作を行う場合、独自のクエリ言語で次のように記述します。ブラウザ上で動作するプログラミング言語「JavaScript」に近い記述方法が特徴です。

db.user.find({});


ただし、MongoDB以外のNoSQLで同じ記述方法を使えるとは限りません。このように、NoSQLでデータ操作する場合はDBMS独自のルールを覚える必要があり、スキルの汎用性は低くなるデメリットがあります。その点、複数のRDBMSで基本的に同じ記述方法を使える「RDB」のほうが、習得したスキルを幅広く活用しやすいでしょう。

 

データ処理速度

「RDB」は、データが増えるにつれて処理速度が低下しやすい傾向があります。これは、データベースの規模が大きくなるほど、整合性や一貫性を保つためのデータ処理が多く発生するためです。

一方で、「NoSQL」では整合性や一貫性のために、「RDB」ほどの複雑なデータ処理を行わないケースが多いです。そのため、データが増えても高速処理しやすい強みがあります。また、アプリやシステムに最適なデータ構造を選べる分、データ処理速度を最適化しやすいのもメリットです。

 

データ処理精度

RDBは「ACID特性」をもつため、データ処理の精度が高いのが強みです。ACIDとは、原子性(Atomicity)・一貫性(Consistency)・独立性(Isolation)・永続性(Durability)という4つの性質を指します。「RDB」のデータ処理は、ACID特性を維持しながら行うため、整合性や正確性を高いレベルで担保できます。

一方で、「NoSQL」は柔軟性や処理速度を重視する傾向があり、ACID特性を厳密に保証しないケースが少なくありません。そのため、データの整合性を完全に担保する「RDB」と比べると、処理精度の面ではやや劣ります。

 

拡張性

データベースの拡張方法として、「RDB」は垂直方向(サーバー性能向上)、「NoSQL」は水平方向(サーバー追加)が特徴です。

「RDB」は、サーバーのCPUやメモリなどの性能を高めることでデータベースの処理能力を向上できます。ただし、ハードウェアの性能には限界があるため、一定レベルを超えると拡張が難しくなるのがデメリットです。

一方で、「NoSQL」はサーバーの数を増やすことで、大量のデータを分散処理できるようになります。サーバーの性能を追求するのと比べて頭打ちになりにくいため、拡張性の面ではNoSQLのほうが有利です。

 

コスト

「RDB」や「NoSQL」のデータベースを取り入れる場合、それぞれに合わせたDBMSの導入・運用コストが発生します。

企業向けのDBMSには商用の製品が多く、ライセンスなどの導入コストが高くなりやすい傾向があります。一方で、「NoSQL」に対応したDBMSにはオープンソースの製品が多いため、コストを抑えやすいでしょう。

ただし、最終的なコストは選ぶ製品によって大きく変わるため、一概に優劣を付けることはできません。また、運用コストについても確保できる人員数やスキルレベルによって変わるため、十分な検討が必要です。

 

RDBとNoSQLの使い分け方

RDBとNoSQLの使い分け方

 

「RDB」と「NoSQL」はそれぞれ一長一短であり、どちらを使うべきか決めかねている方も多いでしょう。ここでは、「RDB」と「NoSQL」の使い分け方について、具体的な用途例も交えてお伝えします。

 

RDBが適しているケース

「RDB」が適している主なケースや具体的な用途例は、下表の通りです。

ケース具体的な用途例
データ管理の信頼性が重視される金融取引、注文処理、在庫管理など
複雑・高度なデータ処理を行いたい経営分析、販売予測、顧客分析など
単一サーバーで事足りる社内システム、個人開発のアプリなど


「RDB」はACID特性により、整合性を保ちながら信頼性の高いデータ管理が可能です。SQLを用いて複雑・高度なデータ処理が可能な強みもあります。また、単一サーバーで事足りる場合、サーバーを増やしにくい「RDB」でも支障は少ないでしょう。

 

NoSQLが適しているケース

「NoSQL」が適している主なケースや具体的な用途例は、下表の通りです。

ケース具体的な用途例
大量のデータを高速処理したいAI(人工知能)開発、リアルタイム分析など
将来的な拡張が求められる大規模システム、SNSなど
画像や音声などを扱いたい医療画像解析、音声認識システムなど


「NoSQL」は、大量のデータを高速処理したいケースで特に有効です。将来的に拡張が見込まれる場合も、拡張しやすい「NoSQL」が適しています。また、データ構造の柔軟性が高い分、画像や音声といったデータを扱えるのも強みです。

 

RDBとNoSQLの組み合わせが効果的なケース

「RDB」と「NoSQL」は必ずしも二者択一ではなく、組み合わせが効果的なケースもあります。たとえば、正確性を重視したい部分は「RDB」で、大量のデータを高速処理したい部分は「NoSQL」で、といった併用も効果的です。

ECサイトを例に考えてみましょう。厳密さが求められる商品情報は「RDB」で管理し、商品や顧客のデータを素早く分析したいレコメンド機能は「NoSQL」を用いる、といった併用方法が一例です。このように、「適材適所」で「RDB」と「NoSQL」を活用することで、両者のメリットを最大化できるでしょう。

 

まとめ

 

「RDB」は行と列をもつ表形式のデータベース、「NoSQL」は「RDB」以外のデータベース全般を指します。「RDB」は信頼性が高く、複雑・高度なデータ処理にも対応できるのが強みです。「NoSQL」は拡張性が高く、大量のデータを高速処理できる強みがあります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、絶対的な優劣はありません。両者の特性を理解し、適切に使い分けましょう。データベースを取り入れる際には、今回の内容をぜひ参考にしてください。

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