Laravelで何ができるのか

そもそも「Laravel」とは、「PHP」というプログラミング言語で作られたフレームワークのことです。フレームワークは「アプリ開発の枠組み」のことで、基本機能の土台を提供し、実装の手間を減らしてアプリ開発を効率化してくれます。
「PHP」はWeb開発に特化したプログラミング言語です。そのため、「Laravel」を使うことで、Webを介して使えるアプリやシステムの開発が可能となります。
Webの構成要素は、大まかにフロントエンド(ブラウザ側)とバックエンド(サーバー側)の2種類です。「Laravel」は特にバックエンド開発が得意ですが、フロントエンド開発の機能も備えています。
ここからは、Web開発において「Laravel」で何ができるのか、バックエンドとフロントエンドの両面から見ていきましょう。
バックエンド開発
「Laravel」が最も得意とするのは、Webアプリの「バックエンド開発」です。バックエンド開発とは、Webアプリのサーバー側で動作するプログラムの開発を指します。
Webアプリのサーバーは、ブラウザ側からのリクエスト(要求)にもとづきデータ取得やWebページ生成を行い、レスポンス(応答)を返します。バックエンド開発では、これら一連の処理をサーバー側で担うプログラムの実装が不可欠です。
「Laravel」のベースとなっている「PHP」はWeb開発に特化しており、Webページの生成やデータベース操作など、多彩なWeb機能を備えています。そして、この強みをさらに強化してくれるのが「Laravel」です。たとえば、「Laravel」の「Eloquent ORM」を使うと直感的な記述でデータベースを操作でき、データ管理が容易となります。
フロントエンド開発
「Laravel」は、基本的な「フロントエンド開発」にも利用可能です。フロントエンド開発とは、ブラウザ側で動作するプログラムの開発を指します。ユーザーがブラウザを通して目にするWebページの、コンテンツやデザインなどの実装が不可欠です。
特に、「Laravel」で手軽に使える「Livewire」というフレームワークは、「PHP」を中心としたフロントエンド開発を可能にしてくれます。フロントエンド開発の基本言語である「JavaScript」の記述を最小限に抑えることが可能です。ただし、複雑な動作・高度な機能が求められる場合は「Vue.js」のような外部フレームワークも必要といえます。
Laravelで作れるWebアプリやシステム

ここからは、具体的に「Laravel」でどのようなWebアプリやシステムを作れるのか、事例を交えて紹介します。
- ECサイト
- SNS
- 情報共有サービス
- ブログ・メディア
- Web API
- 業務システム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ECサイト
「Laravel」を使えば、オンライン販売を可能にするECサイトを開発可能です。「Laravel」は商品管理やカート機能、注文処理など、ECサイトの基本要素を効率よく開発するための仕組みが整っています。
たとえば、データベース操作を直感的に行える「Eloquent ORM」を使うことで、商品情報や注文履歴の管理機能を簡単に実装可能です。また、外部の決済サービスとの連携を支援する「Laravel Cashier」を使えば、決済機能を手軽に実装できます。
SNS
「Laravel」は投稿やフォロー機能など、SNSに必要な要素を柔軟に実装できるフレームワークです。そのため、Web上のユーザー同士をつなぐSNSを開発できます。
SNSのバックエンド開発では、投稿やユーザーごとの膨大なURLを処理しなければなりません。Laravelの「ルーティング機能」を活用すれば、URLに応じた適切なバックエンド処理を呼び出し、正確に処理することが可能です。
情報共有サービス
さまざまな情報を共有するサービスの開発に「Laravel」は適しています。「Eloquent ORM」を活用したデータ管理や、認証機能を活用したユーザー管理がスムーズに実装できるため、情報共有サービスの効率的な開発が可能です。
「Laravel」を活用した情報共有サービスの制作事例としては、グルメサイト「ぐるなび」が挙げられます。ぐるなびは、飲食店の情報や口コミを共有できる大規模なプラットフォームですが、「Laravel」を用いて構築されました。
ブログ・メディア
情報発信に役立つブログやメディアサイトの開発に「Laravel」は利用できます。ルーティング機能を使うことで、記事やカテゴリーごとのURLを正確に処理可能です。また、Webページの動的な生成処理を手軽に実装できる「Bladeテンプレートエンジン」を使えば、コンテンツ表示を柔軟にカスタマイズできます。
「Laravel」を活用したブログ・メディアの制作事例としては「時事通信ニュース」が挙げられます。時事通信ニュースは、世界のニュースを幅広く配信するメディアサイトですが、「Laravel」を基盤に構築されました。
Web API
Laravelを使うことで、「Web API」を開発できます。Web APIとは、Webを介して異なるアプリ間で機能やデータを共有する仕組みのことです。たとえば、外部の地図アプリが公開するWeb APIを使うと、自分のWebアプリ上に地図を表示できます。
Laravelは、Web APIの設計に適した「RESTful」アーキテクチャをサポートしています。また、「Laravel Sanctum」を使えば、API利用時の認証処理を手軽に実装可能です。「Laravel」はECサイトやSNSなど、幅広いWebアプリのWeb API開発に採用されています。
業務システム
企業の特定業務を効率化する「業務システム」を開発する際に「Laravel」は使用可能です。「Laravel」は、モデル・ビュー・コントローラーを役割分担させる「MVCモデル」を採用しています。これにより、大規模な業務システムでも拡張やメンテナンスが容易となります。
顧客管理システムや在庫管理システムなど、「Laravel」で開発できる業務システムはさまざまです。Web開発を支援する機能が豊富な「Laravel」は、ニーズに合わせた業務システムを柔軟に実現できるため、多くの企業で採用されています。
Laravelを使うメリット
「Laravel」を使うメリットは、主に次の3つです。
- Webアプリを効率的に開発できる
- 短期間で習得しやすい
- 仕事に直結しやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Webアプリを効率的に開発できる
「Laravel」を使えば、Webアプリを効率的に開発できます。「Laravel」はログイン機能やデータベース操作など、Webアプリに必要な機能を実装するための仕組みが豊富です。これらを活用すれば、ゼロからコードを書かずに済み、実装量を抑えられます。
また、「MVCモデル」によって役割分担が明確になり、コードの煩雑化を防げます。拡張性やメンテナンス性を保ちやすいため、高い開発効率を維持しながら開発を進められるでしょう。そのため、「Laravel」は大規模なWebアプリの開発でも人気です。
短期間で習得しやすい
「Laravel」は短期間で習得しやすいフレームワークです。人気が高いためWeb上に参考情報が豊富にあり、学習での情報収集がしやすいでしょう。また、「Laravel」での開発で利用する「PHP」は比較的シンプルな文法のため、初心者でも理解しやすいといえます。
Web上の参考情報が少ない言語や文法が覚えづらい言語は、エラー調査や理解に時間を奪われやすいです。しかし、参考情報が豊富で文法を理解しやすい「Laravel」は、プログラミングに慣れていない方でも習得コストを抑えやすいといえます。
仕事に直結しやすい
「Laravel」は「PHPフレームワーク」の中でも特に人気が高く、仕事に直結しやすいスキルです。実際のところ、求人検索エンジン「indeed」で「Laravel」と検索すると、21,000件以上の求人がヒットしています(2025年2月時点)。
機能が豊富で学びやすい「Laravel」は、開発規模を問わず多くの開発現場で採用されています。そのため、Laravelスキルを身につければ、Web開発の仕事を獲得しやすいでしょう。「Laravel」は、プログラミングを仕事にしたい方におすすめです。
Laravelと他PHPフレームワークとの比較
「PHPフレームワーク」は「Laravel」だけでなく、数多く存在します。ここでは、主要な他のPHPフレームワーク2つと比較し、技術選定のポイントを紹介します。
CakePHP
「CakePHP」は、スピーディーなWeb開発を可能にするPHPフレームワークです。Web開発を効率化する仕組みが充実しており、「Laravel」と同様に大規模開発にも対応できます。
ただし、CakePHPは規約が厳格で、覚えるべきことが多い側面もあります。習得しやすさを重視する場合は「Laravel」、開発効率を重視する場合は「CakePHP」がおすすめです。
FuelPHP
「FuelPHP」は、軽量かつ高速な動作が特徴のPHPフレームワークです。プログラムの読み込み頻度やメモリ消費量を少なく抑え、高速なWebアプリを実現できます。
ただし、FuelPHPはMVCモデルよりも複雑な「HMVCモデル」を採用しているなど、学習コストが高めです。習得しやすさを重視する場合は「Laravel」、パフォーマンス性を重視する場合は「FuelPHP」を選ぶとよいでしょう。
Laravelの学習におすすめの入門書
これから「Laravel」を学習する方には、じっくり学べる入門書がおすすめです。必要な知識が体系的に集約されているため、1冊でもしっかり基礎固めできます。また、1冊あたり数千円程度のため、コストを抑えやすいでしょう。
ここでは、「Laravel」を学びたい方におすすめの入門書を2冊紹介します。
書籍名 | 概要 |
いきなりはじめるPHP~ワクワク・ドキドキの入門教室 | PHPの初心者におすすめの1冊です。プログラミング学習の準備から丁寧に解説しています。まずは、この本でPHPの基礎を身につけましょう。 |
速習 Laravel 改訂2版 速習シリーズ | 短期間でLaravelの基礎を学べる電子書籍です。PHPの基礎を習得済みの方は、この本を読めばスムーズに基礎固めできます。 |
まとめ
「Laravel」とは、Web開発を効率化する「PHPフレームワーク」です。「Laravel」を使えばECサイトやSNSなど、幅広いWebアプリを効率よく開発できます。プログラミング初心者でも習得しやすく、仕事に直結しやすい点も魅力です。
ただし、「Laravel」を使いこなすためには、「PHP」の基礎からしっかり学ぶ必要があります。入門書などを活用し、「PHP」や「Laravel」の理解を深めていきましょう。これから「Laravel」を学ぶ方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。