Go言語で何ができるのか

Go言語はモダン(現代的)なプログラミング言語といわれます。プログラミング言語の「モダン」とは、シンプルで読みやすく、無駄がないコードを書ける性質のことです。Go言語は実用性やシンプルさを重視しつつ、他言語の長所を取り入れて作られました。
使いやすさやパフォーマンスなど多くの利点があることから、さまざまな用途に利用されています。ここでは、Go言語で何ができるのか、Go言語の特徴を交えながら主な用途を紹介します。ただし、ここで紹介するものは、ほかのプログラミング言語やフレームワークでも開発可能です。Go言語にとらわれすぎず、プロジェクトや個人にとって最適な技術を選定することが重要といえます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Webアプリ開発
Go言語を使えば、SNSやECサイトのようなWebアプリを開発できます。具体的には、Webアプリを運営するサーバー側でデータの管理やWebページの生成などを行う「バックエンド」のプログラム開発に適しています。
Go言語には「ゴルーチン(Goroutine)」と呼ばれる並行処理の仕組みがあり、複数のリクエストを効率よく同時に処理することが可能です。軽量で高いパフォーマンスを発揮するため、Go言語はWebアプリ開発において需要が高まりつつある言語の1つといえます。
システム開発(小規模~大規模)
パフォーマンス面で優れるGo言語は、小規模から大規模まで幅広いシステムを開発できます。リソースが限られる小規模システムでも軽量に動作し、信頼性が求められる大規模システムにも対応可能です。
Go言語には、データ型をコードで明示的に指定する「静的型付け」という性質があります。データ型に関する問題を実行前に検出できるため、比較的セキュリティ性が高い点が特徴です。
また、仮想通貨で注目の「ブロックチェーン技術」を取り入れたシステム開発に採用されることもあります。金融や医療といった幅広い業界、さらには新しい分野でも活用が広がっている言語です。
ドローン・IoT開発
Go言語を使えば、ドローン(遠隔型の無人機)やIoT(モノのインターネット)を開発できます。IoTとは、電子機器をインターネットに接続する技術のことです。
Go言語は「コンパイラ型言語」と呼ばれ、プログラム全体を事前に機械語(0と1の羅列)に変換してから実行します。実行時に変換処理が発生しない分、ドローンやIoTにおいても高い処理速度を発揮できるのが強みです。
無線通信により制御するドローンやIoTには、リアルタイム性の高い制御が求められますが、Go言語の並行処理や処理速度の高さは大きな優位性といえます。さらに、ドローンなどの制御プログラム実装に役立つ「Gobot」などのフレームワーク(開発の枠組み)があるのも魅力です。
CLIツール開発
Go言語を使えば、「CLIツール」を開発できます。CLIツールとは、コマンド(命令)の実行を通して利用するツールのことです。Windowsの「コマンドプロンプト」やMacの「ターミナル」などを通してコマンドを実行し、さまざまな処理や操作を行います。
Go言語は、ファイル操作や文字列処理といった機能を「パッケージ」として標準搭載しているのが特徴です。パッケージのインポート(取り込み)だけで多様な処理や操作を実装できます。CLIツールでよく使われる機能の多くが標準のパッケージに含まれているため、効率的に開発できるのが大きな強みです。
ゲーム開発
Go言語を使えば、ゲームを開発できます。「Ebitengine」や「Pixel」など、とくに2Dゲーム向けのフレームワークやライブラリ(再利用できるプログラム)が豊富です。これらは無料で商用利用できるため、個人開発者でも手軽に始めやすいといえます。
Go言語自体のシンプルさに加えて、さまざまな開発ツールを活用できるため、効率的に2Dゲームを開発できるでしょう。パフォーマンス性が高いGo言語を使えば、快適な動作のゲームを作れるのも強みです。
データ分析
Go言語はデータ分析にも活用できます。数値計算や統計解析に役立つ機能が豊富にあるため、標準パッケージでも基本的なデータ分析が可能です。とくに「mathパッケージ」を使えば、指数関数や標準偏差といった複雑なデータ分析を手軽に行えます。
また、Go言語のゴルーチンにより並行処理を実現すれば、大量のデータを効率的に処理できます。そのため、Go言語は昨今注目されているAI(人工知能)の開発や、ビッグデータの活用においても有用です。
Go言語を活用するメリット

Go言語を活用するメリットは、主に次の3つです。
- 高パフォーマンスなプログラムを作れる
- シンプルなコードを記述できる
- 幅広い用途に活用できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高パフォーマンスなプログラムを作れる
Go言語を活用することで、高パフォーマンスなプログラムを作れます。前述のとおり、Go言語はコンパイラ型言語であり、実行時に機械語への変換処理が発生しません。そのため、実行時に1ステップずつ機械語へ変換する「インタプリタ型言語」と比べると、プログラムの実行速度が速い傾向があります。
また、Go言語のゴルーチンを使えば、手軽に並行処理を実装できるのも強みです。並行処理の仕組みを作れば、ITリソースを効率よく活用してパフォーマンスを高められます。そのため、Go言語はリアルタイム性が求められるケースや、大量のデータを扱うケースにおいて有用です。
シンプルなコードを記述できる
Go言語を活用すれば、シンプルで無駄のないコードを記述できます。Go言語はモダンな言語であり、歴史ある言語と比べると文法がシンプルです。たとえば、「Java」などの言語で多用されるセミコロン(;)を文末に付ける必要がありません。
シンプルなコードを記述できることは、学習面でも実用面でも大きなメリットです。プログラミング初心者でも、文法や書き方を覚えやすいでしょう。開発現場では、コードの保守性・可読性を保ちやすく、チーム開発の生産性向上を後押ししてくれます。
幅広い用途に活用できる
Go言語は汎用性が高く、幅広い用途に活用できます。これまで紹介したとおり、WebアプリやCLIツール、ドローン、IoTなど、さまざまな開発に対応可能です。標準パッケージが充実しており、用途に応じた多様な機能を効率的に実装できるのが強みといえます。
また、Go言語は前述の静的型付けに加えて、不要になったメモリを自動で解放する「ガベージコレクション」を備えています。この仕組みにより、メモリ管理の負担を軽減し、人的ミスを抑制できます。そのため、安定性や信頼性が求められる大規模なシステム開発にも適した言語といえるでしょう。
Go言語を活用するデメリット

Go言語を活用するデメリットは、主に次の2つです。
- 学習コストが高くなる場合がある
- 求人の競争率が高い場合がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
学習コストが高くなる場合がある
Go言語は、学習コストが高くなる場合があります。Go言語は比較的新しい言語であり、Javaのような定番言語と比べると、学習教材や参考情報が少ないです。そのため、学習で直面した不明点や問題点の答えを見つけにくいといえます。
また、Go言語のようなコンパイラ型言語は、エラーを解決するまでプログラムを動かせません。エラーによって実践が妨げられやすい分、インタプリタ型言語と比べると初心者が難しさを感じやすいといえます。また、他言語を習得済みのプログラミング経験者は、Go言語独自の概念や文法に戸惑う可能性があることもデメリットです。
求人の競争率が高い場合がある
Go言語に関する求人は、競争率が高くなる場合があります。Go言語はモダンなプログラミング言語として人気が高まっており、エンジニアが増えつつあるためです。人気が高い分野の求人に募集する場合、仕事を勝ち取るためのハードルは上がります。
とくに、Webアプリ開発やシステム開発は、Go言語の中心的な活用分野です。こうした分野の求人に募集する場合、ライバルが多く苦戦することも考えられます。Go言語エンジニアの需要は依然として高いものの、必ずしも簡単に仕事を獲得できるとは限らないことを知っておきましょう。
Go言語を学習する3つの方法

Go言語の学習方法としては、次の3つがおすすめです。
- 入門書で学ぶ
- Webサイトを利用する
- スクールを利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入門書で学ぶ
Go言語の入門書を読みながら学ぶ方法です。Go言語の基礎が体系的にまとめられた入門書を使えば、1冊でも必要な知識をしっかり習得できます。1冊あたり数千円程度と低コストなうえに繰り返し使えるため、コストを抑えやすいでしょう。
その反面、パソコンでGo言語を使った実践を行う際、入門書だと不便に感じやすいのが難点です。また、古い入門書だと最新の情報が書かれていない場合があるため注意しましょう。入門書を読むことは、コストを抑えてじっくり学びたい方に合った学習方法です。
ここでは、Go言語を学びたい方におすすめの入門書を2つ紹介します。
おすすめ入門書 | 説明 |
基礎からわかるGo言語 | Go言語の基本的な文法について、サンプルコード付きで解説している1冊です。これでGo言語の基本的なプログラミング方法を押さえましょう。 |
スターティングGo言語 | 定番言語との比較も交えつつ、Go言語のプログラミングの基本を紹介している1冊です。よく使うパッケージの使い方など、実用的な知識が豊富にあります。 |
Webサイトを利用する
Go言語の学習に役立つWebサイトを利用する方法です。Go言語の入門講座を提供している学習サイト、Go言語エンジニアの技術ブログなどがあります。定期的にアップデートが行われるWebサイトであれば、最新の知識を学べるでしょう。
また、実践用のパソコンでWebサイトを閲覧すれば、知識を得ながら効率的に実践が可能です。ただし、インターネット環境がないと使えない点、月額料金がかかる場合がある点に注意しましょう。Webサイトの利用は、効率的に実践したい方や最新の技術を学びたい方に合った学習方法です。
ここでは、Go言語を学びたい方におすすめのWebサイトを3つ紹介します。
おすすめWebサイト | 説明 |
A Tour of Go | Go言語公式のチュートリアルサイトです。実際にコードを書いて実行しながら、Go言語の基本的な文法を学べます。 |
ドットインストール | 3分ほどの短い動画でプログラミングを学習できるWebサイトです。Go言語の入門講座が豊富にあり、基本的な文法を学べます。 |
Udemy | 信頼できる講師による講座動画を購入できるサービスです。Go言語を学べる講座も多数公開されています。 |
スクールを利用する
Go言語の学習支援を行うスクールを利用する方法です。スクールでは、Go言語のプロから高品質な指導を受けられるため、独学と比べて挫折しにくいといえます。Go言語の学習で悩みや疑問点があった場合でも、講師に質問すればすぐに解決できます。
ただし、一般的なスクールの受講料は、独学よりも基本的に高額です。また、時間や場所の制約がある通学型のスクールを選ぶと、学習時間の確保が難しい場合がある点にも注意しましょう。スクールの利用は、挫折せず確実に、かつ効率よく学びたい方に合った学習方法です。
まとめ
Go言語は、今回ご紹介したように幅広い用途に活用できるプログラミング言語です。
シンプルかつ高パフォーマンスなプログラムを開発できるGo言語は、幅広い分野で採用されています。ただし、人によっては学習コストが高くなったり、求人によっては競争率が高くなったりする場合もあります。
Go言語を使いこなすためには、入門書や学習サイト、スクールなどでしっかり基本を身につけることが大切です。Go言語に興味がある方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。