社会人が飲み会マナーを守るべき理由

まずは、「なぜ社会人が飲み会マナーを守るべきなのか」を知っておきましょう。ここでは、社会人が飲み会マナーを守るべき理由を2つ紹介します。
チームメンバーとの信頼関係を深めるため
飲み会は、業務外でチームメンバーとの人間関係を深める貴重な機会です。正しいマナーを心がけることで相手に敬意や誠実さが伝わり、良好な信頼関係を構築できます。チームメンバーとの信頼関係が強化されれば、日常の業務もスムーズに進むでしょう。
反対に飲み会でマナーを欠く行動をとると、相手に不快な思いをさせてしまい、印象が悪化する可能性があります。普段の仕事では見せない一面が見える飲み会だからこそ、マナーはしっかり守りましょう。
人脈拡大とビジネスチャンスにつながるため
飲み会は、他部署や異なる職種の人と親しくなる絶好のチャンスです。正しいマナーを守りつつ積極的に参加することで、新たな仕事の話につながる可能性も高まります。エンジニアであれば、新しい技術や情報を得るためのネットワークづくりにも役立つといえます。
ただし、普段の仕事で関わりがない人と接する際には、より慎重な振る舞いが求められます。初対面の相手には、その飲み会でしか評価してもらえないためです。飲み会でマナーを欠いた行動をとると、悪印象がそのままの評価となってしまいます。貴重なチャンスを逃さないためにも、マナーをしっかり守りましょう。
最低限押さえておきたい社会人の飲み会マナー

ここでは、最低限押さえておきたい社会人の飲み会マナーを8項目に分けて紹介します。下記に大まかなポイントを一覧にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
項目 | マナーの基本 |
服装 | ・清潔感を大切にし、シワや汚れのない服装を選ぶ ・気を使わずに動きやすい服装が望ましい |
挨拶 | ・同じテーブルや隣の人には自分から積極的に挨拶する ・部署や名前を交えて「よろしくお願いします」と挨拶する |
座席 | ・目上の人に上座(入り口から遠い席)をゆずる ・飲み会終了時は、目上の人が立ってから席を後にする ・座席に落とし物や忘れ物がないか忘れずにチェックする |
乾杯 | ・乾杯の際はグラスを両手で持ち、目上の人よりも下の位置にする ・グラス同士を強くぶつけすぎないように気をつける |
お酌 | ・目上の人から優先的にお酌に回る ・目上の人にビールを注いでもらう際は両手でグラスを持つ |
食事 | ・目上の人が食べ始めてから食べる ・食べこぼしなど、一般的な食事のマナー違反はNG ・目下の人が進んで食事を取り分ける |
会話 | ・聞き上手を心がけ、相手が話しやすい雰囲気をつくる ・過度にプライベートへ踏み込むのはNG |
会計 | ・奢ってもらう場合、しっかりお礼を伝える(翌日もお礼を伝える) ・割り勘の場合、できる限り待たせないようスムーズにお金を出す |
服装のマナー:清潔感を大切にする
飲み会に参加する際は、清潔感がある服装を選ぶようにしましょう。不潔な服装で隣に座ると、相手を嫌な気持ちにさせてしまいます。シワや汚れのない服装を選び、清潔感を演出することがポイントです。
とはいえ、飲み会で過度におしゃれをする必要はありません。普段の仕事で着用している服装と同じでも基本的にはOKですが、飲み物や料理が飛び散ることもあるため、動きやすい服装が望ましいといえます。
ただし、砕けすぎた着こなし方はNGです。たとえば、胸元を過度に強調する、ネクタイを緩めすぎるなど、ビジネスマナーに反する着こなし方は避けましょう。
挨拶のマナー:自分から積極的に挨拶する
飲み会では、最初の挨拶で第一印象が決まります。同じテーブルや隣の人には、自分から積極的に挨拶することが大切です。
初対面の人には、部署や名前を交えて「よろしくお願いします」と笑顔で挨拶しましょう。面識があるチームメンバーでも、「お疲れ様です」と挨拶することを忘れてはいけません。挨拶を欠かさずに行うことで、相手からの印象がアップします。
また、初対面の相手から挨拶された際には、その相手の名前を覚えておくことが重要です。会話の際に名前で呼ぶことで距離が縮まります。
座席のマナー:上座・下座に気を配る
飲み会の座席選びにもマナーがあります。とくに、上座・下座には気を配りましょう。入り口から遠い座席が上座、入り口から近い座席が下座です。上座は目上の人にゆずるのが基本であり、新人や若手は下座に座るのが無難といえます。
また、飲み会が終了した後は、目上の人が立ってから退席するのがマナーです。退席前には落とし物や忘れ物がないか、席の周りをチェックしましょう。こうした小さな気配りが、相手からの印象アップにつながります。
乾杯のマナー:目上の人より低い位置で乾杯する
飲み会に欠かせない乾杯のマナーを押さえておきましょう。乾杯の際にはグラスを両手で持ち、目上の人よりも下の位置で乾杯することが大切です。片手で高い位置から乾杯すると、相手に悪印象を与えやすいため注意しましょう。
乾杯の際にグラス同士をぶつけることもありますが、力を入れすぎて飲み物がこぼれたり、グラスが割れたりしないように力加減には注意が必要です。とくにワイングラスのように割れやすいものは、グラスを軽く合わせる程度に留めましょう。
お酌のマナー:目上の人から優先的にお酌に回る
とくに若手や新人は、お酌が上手であれば大きな印象アップにつながります。
各人のグラスをさりげなくチェックし、お酒の残量に気を配りましょう。グラスが半分以下になった時はお酌のチャンスです。「何かお飲みになりますか」など確認の声をかけ、相手が希望するお酒を注ぎましょう。無言で注ぐと、コミュニケーションに発展しないため、相手の気持ちに寄り添った声かけが大切です。
複数人のグラスが空いている場合は、目上の人から優先的にお酌に回りましょう。ビール瓶や徳利は両手で持ち、グラスの縁に注ぎ口をつけないように注意が必要です。また、お酒を注ぎながら軽い世間話を交わすことで親交を深めることができます。
食事のマナー:自ら進んで取り分ける
飲み会では、食事のマナーにも気をつけましょう。目上の人が食べ始めてから食べるのが基本です。また、飲み会では一般的な食事のマナーも守りましょう。たとえば、食べこぼしや口を開けたままで食べる、刺し箸などはマナー違反とされます。
また、大皿の料理は目下の人が率先して取り分けるのが望ましいです。とくに若手や新人の場合は、「取り分けますね」など声をかけて自ら進んで料理を取り分けましょう。取り分け用のお箸やスプーンを使用し、衛生面にも配慮することが大切です。
会話のマナー:聞き上手を心がける
飲み会での会話は、相手との信頼関係に大きく影響します。基本的には聞き上手を心がけ、相手が話しやすい雰囲気をつくることが理想です。相手が話している時には適度に相槌を打ちながら耳を傾け、気になる部分は質問して話を広げましょう。
ただし、話題は仕事関連を中心に選び、過度にプライベートへ踏み込むのはNGです。業務年数や業務内容といった無難な話題から始め、会話の流れをつくりましょう。仕事以外の話題を選ぶ場合は、相手の反応を見ながら盛り上がりそうなものを選びます。
会計のマナー:感謝の気持ちを大切にする
飲み会の会計時には、状況に応じた適切な対応と感謝の気持ちが大切です。割り勘の場合は、できる限り待たせないように素早くお金を出し、会計が滞らないように配慮しましょう。大人数の場合は、事前におおよその金額を確認しておくのが理想です。
目上の人に奢ってもらった場合は、その場で「ありがとうございます」などお礼を伝えます。ただし、会計の際には財布を取り出し、支払う意思があることを示しましょう。次に会った際にも「昨日(先日)はごちそうさまでした」と伝えると好印象です。
お店を出る際には、目上の人が出たことを確認してから自分も出るようにしましょう。退出前にはテーブルや座席周りを確認し、忘れ物や落とし物がないかをチェックすることも気配りの一環です。
相手別の飲み会マナーと注意点

同じ飲み会でも、上司か部下か、社内か社外か、同性か異性かなど相手によって注意点が異なります。ここでは、相手別に飲み会マナーと注意点を解説します。
上司・先輩との接し方
飲み会で上司・先輩と接する際には敬語を使い、失礼がないように丁寧に接するのが基本です。無礼講だからといって羽目を外さないように注意することが大切といえます。通常の仕事と同じように、目上の人に対する礼儀は守りましょう。
また、とくに上司・先輩には積極的な気配りを心がけるのが効果的です。お酌や取り分け、聞き上手な会話の仕方など、気配りができることをアピールしましょう。聞き上手に徹し、相手の話に相槌を打つなど、好印象な姿勢を保つことも大切です。
部下・後輩との接し方
飲み会で部下・後輩と接する際には、親しみやすい雰囲気づくりが大切です。フレンドリーな言葉づかいでも構いませんが、無茶ぶりや高圧的な言動・態度はパワハラにつながりかねないため避けましょう。「絡みづらい先輩」という印象を与え、敬遠されてしまう可能性があります。
部下・後輩であっても、基本的な礼儀は欠かせません。料理を取り分けてもらったり、お酌を受けたりした際にはお礼を伝えましょう。部下や後輩から見られているということを念頭に置き、お手本となるような振る舞いを心がけることが大切です。
クライアントとの接し方
飲み会でクライアントと接する際には、会社の代表としての自覚が求められます。一般的なビジネスマナーはもちろん、細かな気配りで会社のイメージアップを図りましょう。食事の取り分けやお酌など、新人になった気持ちで立ち回ると好印象を与えられます。
上階にあるお店の場合は、エレベーターのボタンを先に押しておくと親切です。エレベーター内でも、全員が出るまで開けるボタンを押し続けるなど、配慮を見せましょう。遠方のクライアントに対しては、送迎アプリでタクシーを事前に手配することも大切です。
気配り上手になるコツは、新人になったつもりで立ち回ることです。全員が目上の人だと思いながら積極的に動きましょう。
異性との接し方
飲み会で異性と接する際には、同性以上に慎重さが求められます。そのため、相手に不快感を与えるような言動、過激な服装や目線などは避けましょう。セクシャルハラスメントにつながる行為は、大きなトラブルに発展しかねません。
また、異性との会話では、好みや関心の傾向が自分と異なることを意識した話題選びが求められます。男性にコスメの話題、女性に釣りの話題を出しても、盛り上がらないケースが多いでしょう。相手の反応を見ながら、最適な話題を見つけることが大切です。
ただし、男女で露骨に態度を変えるのは不自然に見えてしまいます。あくまで自分らしく、リラックスした状態で接することが大切です。
まとめ
飲み会は信頼関係の構築や人脈づくりのチャンスですが、そのためには正しいマナーを守ることが欠かせません。
飲み会のマナーは、服装を選ぶといった準備段階から、会計時の対応まで多岐にわたります。マナーを守らないと相手からの印象が悪くなってしまうこともあります。状況に合わせた適切なマナーを身につけて、飲み会を有意義な時間に変えましょう。